福島県魏業立地ガイド

復興のあゆみ

震災と原発事故から復興を遂げる福島県。

2011年3月11日に発生した東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により甚大な被害を受けた福島県は、全国からの支援を受けながら、復旧・復興に向けて活動を続けてきました。震災から11年を経た今も避難生活を強いられている生活者がいる一方、除染活動やインフラの復旧等が進み多くの県民は日常生活を取り戻しつつあります。

  • 大津波で大破した普通列車
  • 校庭に避難する住民。救助にはヘリコプターも力を発揮した
  • 港に押し寄せる2回目の津波
  • 土砂崩れで完全にふさがった福島市の国道
  • 大きな揺れで校庭に避難した生徒たち
  • 駅舎前でくの字に曲がり無残な姿を見せる列車

空間放射線量

福島県では県内3659地点で空間放射線量を測定して公開しています。
2011年4月時点より大幅に減少し、県内のほとんどの地域は、海外主要都市とほぼ同水準となっています。

避難エリアの推移

東京電力福島第一原子力発電所事故の発生以降、避難指示解除の動きが進んでおり、2017年4月までに浜通り地域の多くの自治体において避難指示が解除されました。
 2019年4月には、福島第一原発の立地自治体である大熊町において「帰還困難区域」を除く一部地域の避難指示が解除されたほか、2020年3月には、唯一全町避難が続いていた双葉町の一部地域の避難指示が解除されました。
 さらに、富岡町、大熊町、双葉町の「帰還困難区域」の一部が同区域として初めて避難指示が解除され、JR常磐線が9年ぶりに全線開通するなど、避難指示解除の動きが加速しています。

2011年4月より2020年3月までで福島県全体の12%から
約2.4%に減少

インフラ整備

会津、中通りでは復旧工事は完了。浜通りも98.9%まで終えています。常磐自動車道はいわき中央ICから広野ICの4車線化が完了し、浜通りへ続く主要8路線を整備中。道路インフラ等の充実強化を図っています。

◆工事箇所別進捗状況と地域別進捗状況

◆【参考】避難指示区域等の進捗状況

避難指示解除準備区域及び居住制限区域は、既に災害査定が終了しています。帰還困難区域では、国が行う除染などと調整を図りながら進めていく予定です。

※避難指示を解除した田村市、南相馬市、葛尾村、川内村、楢葉町、浪江町、川俣町、飯舘村、富岡町の区域を含む。

◆復興に向けた交通網整備

避難解除等区域の復興を周辺地域から強力に支援するため、浜通り(高速道、直轄国道等に囲まれるエリア)へ続く主要8路線の整備などを進めています。

常磐自動車道

・いわき中央IC~広野IC間の4車線化

いわき中央IC〜広野IC間の4車線化に着手し、2021年に完成しました。

・広野IC~山元IC間6カ所(計13.5km)に付加車線を整備

NEXCO東日本は、渋滞緩和などのため広野IC~山元IC間に6カ所の付加車線を設置する方針を示しました。

・常磐双葉IC開設

◆食品の安全・安心(福島県産農林水産物のモニタリング等状況)

出荷前の検査で、玄米、野菜・果実、畜産物、栽培きのこ等で基準値を超過したものはありませんでした。

種別 検査数 基準値超過数 基準値超過数
玄米(令和3年産) 約24万件 0件 0.00% 基準値超過なし
野菜・果実 1,439件 0件 0.00%
畜産物 1,764件 0件 0.00%
栽培山菜・きのこ 373件 0件 0.00%
内水面養殖魚 27件 0件 0.00%
野生山菜・きのこ 595件 0件 0.00%
河川・湖沼の魚類 268件 0件 0.00%
海産魚介類 1,948件 1件 0.05%

福島第一原発の今

◆進む作業環境の改善

フェーシング・ガレキ撤去等の放射線量低減対策に伴い汚染状況が低減され、より軽装備(ヘルメット・使い捨て防じんマスク・ゴーグル・手袋・作業用靴)で入域が可能なGreenゾーンは、現在、敷地面積の96%となっています。

  • 水処理設備[多核種除去装置等]を含む建屋内の作業(視察等を除く)は、全面マスクを着用する。
  • 濃縮塩水、Sr処理水を内包しているタンクエリアでの作業(濃縮塩水等を取り扱わない作業、パトロール、作業計画時の現場調査、視察等を除く)時及びタンク移送ラインに関わる作業時は、全面マスクを着用する。
  • 特定の軽作業(パトロール、監視業務、構外からの持込物品の運搬等)

◆追加装備不要な範囲を拡大

Greenゾーンの中でも、放射性物質による汚染の広がりがないことを確認できたエリアについては、手袋を含めて追加装備不要のまま移動可能となりました。2018年11月からはさらにエリアが拡大され、1~4号機から約100mしか離れていない高台でもマスクや手袋などの装備が不要となり、軽装での視察が可能となっています。

知事による視察の様子(2018年11月1日)

◆廃炉に向けた進捗状況

1号機

使用済燃料プールからの燃料の取り出しに向けて、建屋カバー(残置部)の解体が完了し、2021年9月より大型カバー設置工事に着手しています。また、燃料デブリ※取り出しに向けて、原子炉格納容器内部調査を実施しています。

2号機

使用済燃料プールからの燃料の取り出しに向けて、原子炉建屋南側に「燃料取り出し用構台・前室」の建設を行います。また、燃料デブリ※取り出し初号機として、取り出し開始に向けての準備を進めています。

3号機

2021年2月28日に使用済燃料プールからの 燃料(566体)の取り出しを完了しました。
また、燃料デブリ※取り出しに向けて、追加の原子炉格納容器内部調査の必要性を検討しています。

4号機

2014年12月22日に使用済燃料プールからの燃料(1535体)の取り出しが完了し、燃料によるリスクはなくなりました。

5号機・6号機

2014年1月に廃止。燃料を保管している使用済燃料プールを含む各号機の設備は健全であり、安定した管理ができている。今後、研究開発等の実証試験で活用することを検討。

※燃料デブリ:事故によって、原子炉圧力容器内の炉心燃料が、原子炉格納容器の中の構造物と一緒に溶けて固まったもの
※提供:東京電力HD