福島県魏業立地ガイド

再生可能エネルギー関連産業

RENEWABLE
ENERGY

ふくしま企業立地サポート

福島県が企業立地に優れている理由

01再生可能エネルギーの知見を基に、
製品開発や事業創出を支援。

再生可能エネルギー関連産業

東日本大震災からの復興が進む福島県。現在では震災復興と原発廃炉を目指し、国内外からさまざまな技術、産業、研究が集積されつつある状況だ。そんな中、エネルギー分野で広く企業サポートに取り組むのが、2014年4月に開設された福島再生可能エネルギー研究所。廃炉に向かう原発と新設された研究所の対比は、エネルギー政策の転換を示す象徴とも言えるだろう。新たな産業への種を育てるべく、企業支援に取り組む施設に迫った。

国立研究開発法人 産業技術総合研究所
福島再生可能エネルギー研究所(福島県郡山市)

  • 世界的イノベーションハブを目指す、
    福島県中央部の国立研究拠点。

    福島県中央部に位置する郡山市。この中核市には、国立研究開発法人である産業技術総合研究所(産総研)福島再生可能エネルギー研究所(FREA)が立地している。FREAは2014年、東日本大震災からの復興に向けた政府基本方針に基づき、産総研の新拠点として設置された。
    その目的は再生可能エネルギーの世界的イノベーションハブになること。合わせて企業や大学との連携を通し、福島県から独創的な技術を発信しようと活動している。その中で企業の発展や人材育成を促し、震災復興に貢献することも重要な役割となっているのだ。
    施設名にある通り、再生可能エネルギーを柱とした研究開発こそがFREAの柱。七つの研究チームが風力や太陽光といった課題について基礎から実証にいたるまで、幅広い研究開発に取り組んでいる。中でも水素を使ったエネルギーについては、開所以来継続して注力。水素発電の実証実験などを通し、豊富なノウハウを蓄積している。

    福島再生可能エネルギー研究所の総敷地面積は78,000m2におよぶ

  • 新たな産業を生む可能性を種ととらえ、
    事業化に向けてバックアップ。

    FREAでは研究開発だけでなく、さまざまな形での企業サポートにも取り組んでいる。所内には産学官連携推進室を置き、企業や団体からの相談に対応。その主な取り組みは、企業や大学および高専との共同研究、企業などからの受託研究、専門技術の習得を促す技術研修、産総研の研究者による専門家派遣、技術的な問題へのアドバイスやサポートを行う技術相談および技術コンサルティング、産総研の特許など知的財産利用への許諾などが挙げられる。
    その中でも注目されるのが「被災地企業のシーズ支援プログラム」だ。これは東日本大震災の主な被災地である福島、宮城、岩手3県の企業に対し、FREAのノウハウや研究設備を活用した技術支援を行うもの。再生可能エネルギーに関した相談を産業の種、すなわちシーズととらえ、事業化に向けたバックアップを行うのだ。その相談件数は2019年1月時点で100件以上。このうち17件は実際に事業化されている。

    風力や太陽光による発電設備のほか、水素に関する実験棟も立地

  • 水素についてのノウハウを生かし、
    水素透過膜に関する技術を取得。

    シーズ支援プログラムについて活用事例を取り上げてみよう。FREAでは2015年、近隣に工場を置く山王と金属複合水素透過膜の開発に取り組んだ。
    山王は横浜市に本社を置くメーカーで、めっき加工を得意としている。電子部品を取り扱うことから貴金属の表面処理に精通していたものの、水素についての知見が少なかったことからFREAに相談したのだという。
    水素に関するノウハウはFREAにとって大きな強みだ。さまざまな形で情報提供を行うとともに評価設備を整え、分析装置を導入して試験を行うなど開発をサポートしていった。
    この結果、電解めっきにより多孔質ニッケル支持体およびパラジウム合金の成膜技術を取得。多孔質ニッケル膜の強度を高める焼成法などで、特許を出願するにいたったのだ。
    サポートにあたった遠藤成輝研究員は「FREAの設備で得たデータを基に解析と議論を重ね、支援先が知りたい情報を提供できた」と開発を振り返っている。

    FREAによるサポートのもと、開発された山王の金属複合水素透過膜

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産業技術総合研究所
福島再生可能エネルギー研究所

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