水稲ふくしま型有機栽培技術実証ほ情報
(平成19年度)

技術移転科

このページでは、水稲の有機栽培実証ほの情報を生育を追跡しながらお知らせします。
■最終更新日 平成20年2月15日


 水稲ふくしま型有機栽培技術実証ほ 平成19年度計画(平成19年4月13日掲載)

   PDF形式のファイルで提供します。


 技術実証ほのねらい
 深水管理などの耕種的方法や、米ぬか・屑大豆の有機物施用による雑草抑制効果について検証し、紙マルチ栽培やアイガモ導入による雑草の要防除水準の判断材料を得る。
 また、本年は取り組みやすい市販の有機肥料や有機育苗培土を用い、480kg/10a以上の収量を実現し、有機栽培指向農家の一助とする。


■ 本年の経過と評価

実証ほ内に設置した深水区(手前)と浅水区(奥) 実証区(左)と深水区(右)の藻類発生状況
実証ほ内に設置した深水区(手前)と浅水区(奥)
 深水管理を行い屑大豆と米糠ペレットを散布した実証ほ(実証区)内に、アゼ波で囲い屑大豆等有機物を散布しない区(深水区)と有機物を散布せずさらに浅水管理を行う区(浅水区)を設置しました。
実証区(左)と深水区(右)の藻類発生状況
 実証区では、シャジクモやサヤミドロなどの藻類が早期より発生し、アゼナ等の雑草の発生を抑制しました。深水区や浅水区では、藻類の発生はわずかでした。
有機栽培の生育経過 収量および品質
 有機栽培の生育経過
 茎数の推移では、浅水区>深水区≧実証区で、浅水区では地温の日較差が大きいこともあり、茎数が優りました。
 葉色では、初期の実証区の葉色が淡く、藻類の発生によるものと考えられます。
 これらのことから、深水管理は水温の日較差が少なく浅水管理に較べ分げつの発生を抑制し、有機物の施用は藻類が多く発生することもあり、水稲の生育を抑制しました。
収量および品質
 収量調査において、浅水区>深水区>実証区の順で収量が高く、雑草抑制のための深水管理や屑大豆や米糠ペレットの有機物の施用が本年の収量には、むしろマイナスであったことが伺えます。これは、本年も昨年並に雑草の発生量が少なく、また、基肥量がやや少なかったためです。
 有機栽培を行うためには雑草抑制が課題で、埋土種子量を低く抑える管理を行うことが大切ですが、屑大豆や米糠ペレットなどの有機物を散布する場合は、施肥量の検討の際に藻類発生を考慮する必要があると感じました。
 また、実証ほの全刈り収量は10a当たり293kgで、味度値は91と品質的には良好でした。

 生育データ
 ふくしま型有機栽培技術実証ほ(水稲)の生育データ(平成19年8月10日現在)

移植後日数
(日)
調査日
(月/日)
草丈
(cm)
茎数 葉色
(SPAD値)
葉齢
(枚)
(本/株) (本/u)
0 5/25 20.2 27.8 4.0
+16 6/11 24.3 2.0 31 25.6 5.9
+25 6/20 33.5 4.3 66 28.4 7.7
+34 6/29 41.3 6.9 108 38.0 9.2
+45 7/10 50.1 10.4 161 38.8 10.8
+55 7/20 55.5 11.0 171 37.1 11.7
+65 7/30 68.7 10.8 169 34.7 12.8
+76 8/10 79.9 10.5 163 30.2 14.1

 出穂状況

出穂始め 出穂期 出穂揃い
8月13日 8月17日 8月19日

 成熟期調査(9月10日)

稈長 穂長 穂数 推定籾数
cm cm 本/株 本/m2 粒/穂 粒/m2
80.6 20.4 9.8 153 106 16,172

■ 収穫を終えて

販売用の米 レンゲの生育
販売用の米(11月20日撮影)
 乾燥・調製作業を終えた玄米は、イベント等での試食用を除き、販売は終了しました。
レンゲの生育(平成20年2月8日撮影)
 9月20日に播種したレンゲの生育は、稲の切り株とわらの間からわずかに見られる程度です。

 稲刈り

稲刈り作業 レンゲの出芽状況
稲刈り作業(10月10日)
 秋晴れの中、刈り取り作業を行いました。
 籾の黄化率はほぼ100%でした。
 収量は、目標には及ばず300kg/10a前後と見込まれます。
レンゲの出芽状況(10月10日)
水稲立毛中の土壌に表面播種されたレンゲの種子ですが、播種後降雨が少なく心配されましたが、まずまずの出芽状況です。

 生育状況

9月10日の様子 レンゲの播種作業
9月10日の様子
出穂後24日ほど経過し、糊熟期頃でこの頃より籾が徐々に黄化し始めます。稈長、穂長、穂数などの成熟期調査を行いましたが、稈長は前年より短く、1穂籾数と穂数も前年より少なく、m2籾数が前年より少ないと予想されました。
レンゲの播種作業(9月20日)
9月14日に落水し、翌年の緑肥としてレンゲ種子を動噴で10a当たり2kgの播種作業を行いました。レンゲ種子は比重が軽く、動噴で10m程度しか飛散しないため、ほ場内の播種作業が必要でした。
8月10日の生育の様子 手取り除草の様子
8月10日の生育の様子
草丈80cmで、茎数は10.5本/株です。
止葉が抽出し、穂ばらみ期になっています。
中干しは7月24日〜8月3日まで行いました。梅雨明け後、高温が続いているため、水管理は水深3cmほどの湛水管理を行っています。
手取り除草実施(8月9日撮影)
8月2日に雑草調査を実施しましたが、サンプリング調査において、u当たりアゼナが5本とタマガヤツリが1本ある程度でした。しかし、コナギやホタルイ、ガマもわずかですが散見されるため、次年度対策として手取り除草を実施しました。
7月30日の生育の様子 中干し実施中の様子
7月30日の生育の様子
草丈69cmで、茎数は11本弱/株です。
最高分げつ期は7月20日頃でした。幼穂形成始期は7月23日でした。葉いもちは、まだ発病を確認していません。
中干し実施中(7月30日撮影)
7月24日から落水し、中干しを実施しています。同じく、7月24日に乗用型の溝切り機で溝切り作業を行いました。長期間、深水管理を実施したので、中干しをスムーズに行うために、溝切り作業が必須です。
7月20日の生育の様子 藻類の様子
7月20日の生育の様子
草丈56cmで、茎数は11本/株程度です。低温と日照不足が続いていることもあり前年に比べ、草丈、茎数とも少ないです。
幼穂の観察から幼穂形成始期は7月23日頃と推定されます。穂肥を7月17日に(有機アグレット80kg/30a)実施しました。

藻類がびっしり(7月20日撮影)
現在、シャジクモ、サヤミドロなどの藻類が水面を覆っています。
6月いっぱいは水面下で繁殖し、アゼナ等の雑草抑制効果もありました。現在は、水面全部を覆うようになり、水稲も抑制していると思われます。まもなく中干しのため落水します。

7月10日の生育の様子 ムラ直しのために追肥実施

7月10日の生育の様子
1株当たりの茎数は10本程度です。藻類が目立つようになってきましたが、その他の雑草は少ないです。病害虫は、イネドロオイムシの被害が散見される程度です。

ムラ直しのために追肥実施(7月3日撮影)
有機ほ場において、地力差と施肥ムラによる生育差が生じてきたために、7月6日に部分的に追肥(有機アグレット20kg/30a)を実施しました。

6月29日の生育の様子 イネドロオイムシの食害

6月29日の生育の様子
葉色がかなり濃くなってきました。

分げつは7号分げつ(主茎第7葉から分枝)と4号分げつからの2次分げつがまれに確認できます。

イネドロオイムシの食害(6月29日撮影)
梅雨入りとともにイネドロオイムシ幼虫による食害が散見されます。また、イネミズゾウムシ成虫による被害は、6月中旬で盛期を過ぎました。(円の部分はイネドロオイムシ幼虫)

6月20日の生育の様子 有機水田にはツバメがいっぱい
6月20日の生育の様子
水深約10cmで深水管理中です。
4号分げつ(主茎第4葉から分枝)と5号分げつ(主茎第5葉からの分枝)が6月14日頃から確認できるようになりました。また、葉色も徐々に濃くなってきました。
有機水田にはツバメがいっぱい(6月20日撮影)
ツバメが水田の上空を20羽以上飛行しています。水田で発生しているユスリカを食べていると思われます。
6月11日の生育の様子 イネ水ゾウムシの食害
6月11日の生育の様子
屑大豆、米ぬかペレットを散布し、現在水深6cmで深水管理中です。まだ、分げつの発生は見られません。コナギ、ノビエ、アゼナがわずかに発生してきました。
イネミズゾウムシの食害(6月11日撮影)
有機栽培2年目となり、イネミズゾウムシの食害が前年に比べ目立っています。
(円の部分は、イネミズゾウムシの成虫)

■ 抑草
・5月28日 屑大豆散布       50kg/10a(動力散粉機 1.5時間/30a)
・5月29日 米ぬかペレット散布   50kg/10a(動力散粉機 1.5時間/30a)

動粉で米ぬかペレットの散布作業 屑大豆と米ぬかペレット散布直後の様子
動噴での米ぬかペレットの散布作業 屑大豆と米ぬかペレット散布直後の様子

■ 耕種概要
供試品種 コシヒカリ(30a)
育苗管理
(1)種子予措 温湯種子消毒 3月30日(60℃10分、湯芽工房YS200L使用)
(2)浸   種 3月30日〜4月9日(10日間)
(3)催   芽 4月9日 28℃ 20時間
(4)播   種 4月10日(乾燥籾60g/箱)
(5)育   苗 無加温育苗(太陽シート使用)、プール育苗 4月17日〜5月22日

本田管理
(1)堆肥散布 4月19日(マニュアスプレッダ) 牛ふん堆肥 1t/10a
(2)施   肥 基肥:4月23日(ライムソア) 有機アグレット666特号:67kg(成分kg/10a、N:4、P:4、KO:4)
                            球状ようりん:50kg
          追肥:7月17日(予定、動力散粉機) 有機アグレット666特号:33kg(成分kg/10a、N:2、P:2、KO:2)
(3)耕   起 4月23日
(4)代 か き  荒代5月2日、植代5月22日
(5)田 植 え  5月25日(機械移植)、栽植密度:30cm×21cm 15.8株/u
(6)雑草防除 深水管理:5月25日〜7月中旬、屑大豆散布:5月28日(動力散粉機) 50kg/10a
          米ぬかペレット散布:5月月29日(動力散粉機) 50kg/10a
          機械除草(乗用型除草機、雑草発生状況による。)
(7)追   肥 7月6日  有機アグレット666特号:7kg(成分kg/10a、N:0.4、P:0.4、KO:0.4)(動力散粉機 1時間/30a)
          7月17日 有機アグレット666特号:26kg(成分kg/10a、N:1.6、P:1.6、KO:1.6)(動力散粉機 1時間/30a)


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